都内において、今年2月、はちみつの摂取が原因と推定される乳児ボツリヌス症による死亡事例がありました。
乳児ボツリヌス症は1歳未満の乳児に特有の疾病で、経口的に摂取されたボツリヌス菌の芽胞※が腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素により発症します。

ボツリヌス食中毒はボツリヌス菌がビン詰めなど空気に触れにくい食品の中で繁殖するときに強力な毒素を作り、食べた人が非常に重篤な神経症状に襲われるものです。
ところが、乳幼児の場合、食べてしまったボツリヌス菌の量が少なくてもおなかの中で発芽・増殖し、毒素を作ってしまいます。

初期症状としては3日以上の便秘、吸乳力の低下、泣き声が弱い、全身脱力、呼吸困難などです。

国産・輸入品を問わず、くれぐれも1歳未満の乳児には蜂蜜を食べさせないようにしてください。
(1歳を超えれば発症しないので食べさせても大丈夫です)

 

※ 芽胞とは
ボツリヌス菌などの特定の菌は、増殖に適さない環境下において、芽胞を形成します。芽胞は、加熱や乾燥に対し、高い抵抗性を持ちます。
芽胞を死滅させるには120℃4 分以上またはこれと同等の加熱殺菌が必要です。100℃程度では、長い時間加熱しても殺菌できません。

 

 

たち内科小児科クリニック